国会等の移転に関する法律
(平成四年十二月二十四日法律第百九号)


最終改正:平成一六年六月二日法律第七六号


 前文
 第一章 総則(第一条・第二条)
 第二章 基本指針(第三条―第十一条)
 第三章 国会等移転審議会(第十二条―第二十一条)
 第四章 移転に関する決定(第二十二条・第二十三条)
 第五章 候補地の選定に伴う土地投機対策(第二十四条・第二十五条)
 附則

 我が国は、国民のたゆみない努力により今次の大戦による荒廃の中から立ち上がり、かつてない経済的繁栄を築き上げてきた。そして今日、精神的充足を求める気運の増大、多様な地域文化をはぐくむことや全世界との連携を強化することについての認識の高まりに見られるように、時代は大きく変わろうとしている。
  しかるに、我が国の現状は、政治、経済、文化等の中枢機能が東京圏に過度に集中したことにより、人口の過密、地価の高騰、生活環境の悪化、大規模災害時における危険の増大等の問題が深刻化する一方で、地方における過疎、経済的停滞、文化の画一化等の問題が生じるに至っている。これらの諸問題は、単に国土の適正な利用を図るという観点からのみでなく、時代の変化に対応した新しい社会を築く上で、大きな桎梏となっている。
 とりわけ、阪神・淡路大震災による未曾有の被害の発生により、大規模災害時において災害対策の中枢機能を確保することの重要性について改めて認識したところである。
 このような状況にかんがみ、一極集中を排除し、多極分散型国土の形成に資するとともに、地震等の大規模災害に対する脆弱性を克服するため、世界都市としての東京都の整備に配慮しつつ、国会等の東京圏外への移転の具体化について積極的に検討を進めることは、我が国が新しい社会を建設するため、極めて緊要なことである。
 もとより、国会等の移転のみで問題が解決するものではなく、これと併せ、地方分権その他の行財政の改革等を推進することにより、自主的で創造的な地域社会の実現を図っていくことが肝要であり、また国会等の移転をそのような改革の契機として活用していくことが重要であると確信する。
 ここに、国会等の移転を目指して、その具体化の推進のために積極的な検討を行うべきことを明らかにし、そのための国の責務、基本指針、移転先候補地の選定体制等について定めるため、この法律を制定する。

   第一章 総則

(国の責務)
第一条  国は、国会並びにその活動に関連する行政に関する機能及び司法に関する機能のうち中枢的なもの(以下「国会等」という。)の東京圏以外の地域への移転(以下「国会等の移転」という。)の具体化に向けて積極的な検討を行う責務を有する。

(定義)
第二条  この法律において「多極分散型国土」とは、多極分散型国土形成促進法 (昭和六十三年法律第八十三号)第一条 に規定する多極分散型国土をいう。
 この法律において「東京圏」とは、多極分散型国土形成促進法第二十二条第一項 に規定する東京圏をいう。

   第二章 基本指針

第三条  国は、国会等の移転について検討を行うに当たっては、広く国民の意見を聴き、その合意形成を図るとともに、この章に定めるところにより、広範かつ多角的にこれを行うものとする。

第四条  地方分権の総合的かつ計画的な推進、行政の各般にわたる民間活動に係る規制の改善の推進、行政の制度及び運営の改善の推進等行財政の抜本的な改革と的確に関連付けるものとする。

第五条  国会等の移転と多極分散型国土の形成の促進に関する施策との一体性を確保するものとする。

第六条  経済及び文化における国際的中枢機能並びに良好な居住環境等を備える都市としての東京都の整備との調和を図るとともに、国会等の移転先(以下「移転先」という。)の新都市と東京都との機能面での連携を確保するものとする。

第七条  移転先について、災害に対する安全性、地形の良好性、水の供給の安定性、交通の利便性、土地取得の容易性等の条件を配慮するものとする。

第八条  移転先の新都市が、交通通信体系の整備等により、世界及び我が国の各地域との交流が容易であり、かつ、自然環境と調和し、良好な居住環境等を備えた都市となるようにするものとする。

第九条  国会等の移転の計画は、社会経済情勢の変化に弾力的に対応することができる段階的なものとするものとする。

第十条  移転先の新都市の整備に際し、適切な土地対策を講じるものとする。

第十一条  地震等の大規模災害に対処する上での緊急性、東京都の災害対策の充実等に配慮するものとする。

   第三章 国会等移転審議会

(国会等移転審議会の設置)
第十二条  内閣府に、国会等移転審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務等)
第十三条  審議会は、内閣総理大臣の諮問に応じ、移転先の候補地(以下「候補地」という。)の選定及びこれに関連する事項について調査審議する。
 内閣総理大臣は、前項の諮問に対する答申を受けたときは、これを国会に報告するものとする。

(国会等移転調査会の報告の取扱い)
第十四条  審議会は、国会等移転調査会の報告及びこれに関する国会の審議を踏まえ、調査審議するものとする。

(組織)
第十五条  審議会は、委員二十人以内で組織する。
 委員は、国会等の移転に関し、行財政改革を含めた各分野において優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
 前項の場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、同項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。
 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。
 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
 内閣総理大臣は、委員が破産手続開始の決定を受け、又は禁錮以上の刑に処せられたときは、その委員を罷免しなければならない。
 内閣総理大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、両議院の同意を得て、その委員を罷免することができる。
 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
 委員は、非常勤とする。

(会長)
第十六条  審議会に、会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

(専門委員)
第十七条  審議会に、専門の事項を調査審議させるため、専門委員を置くことができる。
 専門委員は、学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
 専門委員は、当該専門の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
 専門委員は、非常勤とする。

(幹事)
第十八条  審議会に、幹事を置く。
 幹事は、学識経験のある者及び関係機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
 幹事は、審議会の所掌事務について、委員を補佐する。
 幹事は、非常勤とする。

(協力依頼等)
第十九条  審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係機関に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。
 審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、現地調査を行うことができる。この場合においては、あらかじめ、当該現地調査を行おうとする区域の全部又は一部をその区域に含む地方公共団体の長に通知して、その意見を聴かなければならない。
 審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、公聴会を開くことができる。

(事務局)
第二十条  審議会の事務を処理させるため、審議会に、事務局を置く。
 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。
 事務局長は、内閣官房副長官をもって充てる。
 事務局長は、会長の命を受けて、局務を掌理する。

(政令への委任)
第二十一条  この法律に定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、政令で定める。

   第四章 移転に関する決定

第二十二条  審議会の答申が行われたときは、国民の合意形成の状況、社会経済情勢の諸事情に配慮し、東京都との比較考量を通じて、移転について検討されるものとする。

第二十三条  移転を決定する場合には、第十三条第二項の規定による報告を踏まえ、移転先について別に法律で定める。

   第五章 候補地の選定に伴う土地投機対策

(監視区域の指定の特例)
第二十四条  都道府県知事又は地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市の長は、第十九条第二項に規定する現地調査を行う区域又は候補地の区域(次条において「候補地等の区域」という。)のうち、地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域を、国土利用計画法 (昭和四十九年法律第九十二号)第二十七条の六第一項 の規定により監視区域として指定するものとする。

(規制区域に関する配慮)
第二十五条  国は、候補地等の区域における国土利用計画法 の規定による規制区域に関する事務が円滑に行われるよう適切な財政上の配慮に努めるものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。
   附 則 (平成八年六月二六日法律第一〇六号) 抄

(施行期日)
 この法律は、公布の日から施行する。
(土地取引の規制に関する検討)
 移転先の新都市の整備については、当該移転先における土地の投機的取引及び地価の高騰が移転先の新都市の整備に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るための土地取引の実効ある規制について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

   附 則 (平成一〇年六月二日法律第八六号) 抄

(施行期日等)
第一条  この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 (平成一一年七月一六日法律第一〇二号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 附則第十条第一項及び第五項、第十四条第三項、第二十三条、第二十八条並びに第三十条の規定 公布の日

(職員の身分引継ぎ)
第三条  この法律の施行の際現に従前の総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省又は自治省(以下この条において「従前の府省」という。)の職員(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条の審議会等の会長又は委員長及び委員、中央防災会議の委員、日本工業標準調査会の会長及び委員並びに これらに類する者として政令で定めるものを除く。)である者は、別に辞令を発せられない限り、同一の勤務条件をもって、この法律の施行後の内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省若しくは環境省(以下この条において「新府省」という。)又はこれに置かれる部局若しくは機関のうち、この法律の施行の際現に当該職員が属する従前の府省又はこれに置かれる部局若しくは機関の相当の新府省又はこれに置かれる部局若しくは機関として政令で定めるものの相当の職員となるものとする。

(国会等の移転に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第十一条  この法律の施行の際現に従前の総理府の国会等移転審議会の委員である者は、この法律の施行の日に、第二十五条の規定による改正後の国会等の移転に関する法律(以下この条において「新国会等移転法」という。)第十五条第二項の規定により、内閣府の国会等移転審議会の委員として任命されたものとみなす。この場合において、その任命されたものとみなされる者の任期は、新国会等移転法第十五条第五項の規定にかかわらず、同日における従前の総理府の国会等移転審議会の委員としての任期の残任期間と同一の期間とする。
 この法律の施行の際現に従前の総理府の国会等移転審議会の会長である者は、この法律の施行の日に、新国会等移転法第十六条第一項の規定により、内閣府の国会等移転審議会の会長として定められたものとみなす。
 この法律の施行の際現に従前の総理府の国会等移転審議会の専門委員である者は、この法律の施行の日に、新国会等移転法第十七条第二項の規定により、内閣府の国会等移転審議会の専門委員として任命されたものとみなす。

(別に定める経過措置)
第三十条  第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要となる経過措置は、別に法律で定める。

   附 則 (平成一一年一二月八日法律第一五一号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、平成十二年四月一日から施行する。

(経過措置)
第三条  民法の一部を改正する法律(平成十一年法律第百四十九号)附則第三条第三項の規定により従前の例によることとされる準禁治産者及びその保佐人に関するこの法律による改正規定の適用については、次に掲げる改正規定を除き、なお従前の例による。
 第四条の規定による非訟事件手続法第百三十八条の改正規定
 第七条中公証人法第十四条及び第十六条の改正規定
 第十四条の規定による帝都高速度交通営団法第十四条ノ六の改正規定
 第十七条の規定による私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第三十一条の改正規定
 第二十条中国家公務員法第五条第三項の改正規定
 第二十八条の規定による競馬法第二十三条の十三、日本中央競馬会法第十三条、原子力委員会及び原子力安全委員会設置法第五条第四項、科学技術会議設置法第七条第四項、宇宙開発委員会設置法第七条第四項、都市計画法第七十八条第四項、北方領土問題対策協会法第十一条、地価公示法第十五条第四項、航空事故調査委員会設置法第六条第四項及び国土利用計画法第三十九条第五項の改正規定
 第三十一条中建設業法第二十五条の四の改正規定
 第三十二条の規定による人権擁護委員法第七条第一項の改正規定
 第三十三条の規定による犯罪者予防更生法第八条第一項の改正規定
 第三十五条中労働組合法第十九条の四第一項及び第十九条の七第一項の改正規定
十一  第四十四条中公職選挙法第五条の二第四項の改正規定
十二  第五十条中建築基準法第八十条の二の改正規定
十三  第五十四条中地方税法第四百二十六条の改正規定
十四  第五十五条中商品取引所法第百四十一条第一項の改正規定
十五  第五十六条中地方公務員法第九条第三項及び第八項の改正規定
十六  第六十七条中土地収用法第五十四条の改正規定
十七  第七十条の規定によるユネスコ活動に関する法律第十一条第一項、公安審査委員会設置法第七条及び社会保険審査官及び社会保険審査会法第二十四条の改正規定
十八  第七十八条の規定による警察法第七条第四項及び第三十九条第二項の改正規定
十九  第八十条の規定による労働保険審査官及び労働保険審査会法第三十条、公害等調整委員会設置法第九条及び公害健康被害の補償等に関する法律第百十六条の改正規定
二十  第八十一条の規定による地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条第二項の改正規定
二十一  第八十四条の規定による農林漁業団体職員共済組合法第七十五条第一項の改正規定
二十二  第九十七条中公害紛争処理法第十六条第二項の改正規定
二十三  第百四条の規定による国会等の移転に関する法律第十五条第六項及び地方分権推進法第十三条第四項の改正規定
二十四  第百八条の規定による日本銀行法第二十五条第一項の改正規定
二十五  第百十条の規定による金融再生委員会設置法第九条第一号の改正規定

第四条  この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

   附 則 (平成一六年六月二日法律第七六号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、破産法(平成十六年法律第七十五号。次条第八項並びに附則第三条第八項、第五条第八項、第十六項及び第二十一項、第八条第三項並びに第十三条において「新破産法」という。)の施行の日から施行する。

(政令への委任)
第十四条  附則第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。