森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法
(平成二十年五月十六日法律第三十二号)


最終改正:平成二六年六月一三日法律第六七号

(目的)
第一条  この法律は、我が国森林による二酸化炭素の吸収作用の保全及び強化の重要性に鑑み、平成三十二年度までの間における森林の間伐等の実施を促進するため、農林水産大臣が策定する基本指針等について定めるとともに、市町村による特定間伐等促進計画の作成及び都道府県知事による特定増殖事業計画の認定並びにこれらの計画の実施に関する特別の措置を講じ、もって森林の適正な整備に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「特定間伐等」とは、森林(森林法 (昭和二十六年法律第二百四十九号)第二条第一項 に規定する森林をいう。以下同じ。)の間伐又は造林で平成三十二年度までの間に行われるものであって、種穂(林業種苗法 (昭和四十五年法律第八十九号)第三条第一項 に規定する種穂をいう。以下同じ。)の採取の用に供する樹木の増殖以外のものをいう。
 この法律において「特定母樹の増殖」とは、特に優良な種苗(林業種苗法第二条第一項 に規定する種苗をいう。以下同じ。)を生産するための種穂の採取に適する樹木であって、成長に係る特性の特に優れたものとして農林水産大臣が指定するもの(以下「特定母樹」という。)の増殖で平成三十二年度までの間に行われるものをいう。
 この法律において「特定増殖事業」とは、特定母樹の増殖に関する事業であって、次に掲げるものをいう。
 生産事業(林業種苗法第二条第二項 に規定する生産事業をいう。以下同じ。)を行い、又は行おうとする生産事業者団体等(同項 に規定する生産事業者の組織する団体その他政令で定める者をいう。以下同じ。)が、特定母樹の増殖を行い、その増殖した特定母樹から採取する種穂を主として当該生産事業者団体等の構成員その他政令で定める者に配布するために実施する事業
 生産事業を行い、又は行おうとする者が、特定母樹の増殖を行い、その増殖した特定母樹から採取する種穂を主として生産事業者団体等に配布するために実施する事業
 生産事業を行い、又は行おうとする者が、特定母樹の増殖を行い、その増殖した特定母樹から採取する種穂から配布の目的をもって苗木を育成するために実施する事業

(基本指針)
第三条  農林水産大臣は、特定間伐等及び特定母樹の増殖の実施の促進に関する基本指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。
 基本指針においては、次に掲げる事項につき、次条第一項の基本方針の指針となるべきものを定めるものとする。
 特定間伐等及び特定母樹の増殖の実施の促進の意義及び目標に関する事項
 特定間伐等の実施を促進するための措置を講ずべき区域の設定に関する基本的な事項
 前号の区域において実施すべき特定間伐等に関する基本的な事項
 特に優良な種苗を生産する体制の整備に関する基本的な事項
 特定増殖事業の実施に関する基本的な事項
 前各号に掲げるもののほか、特定間伐等及び特定母樹の増殖の実施の促進に関する重要事項
 基本指針は、地球温暖化の防止を図るための施策に関する国の計画と調和するものでなければならない。
 基本指針に定める第二項第一号から第三号まで及び第六号に掲げる事項(特定間伐等に係る部分に限る。)は、森林法第四条第一項 の規定によりたてられた全国森林計画に適合するものでなければならない。
 農林水産大臣は、基本指針を定めようとするときは、環境大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。
 農林水産大臣は、基本指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、環境大臣その他関係行政機関の長及び都道府県知事に通知しなければならない。
 前二項の規定は、基本指針の変更について準用する。

(基本方針)
第四条  都道府県知事は、基本指針に即して、当該都道府県の区域内における特定間伐等の実施の促進に関する基本方針又は当該区域内における特定間伐等及び特定母樹の増殖の実施の促進に関する基本方針(以下「基本方針」と総称する。)を定めることができる。
 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。ただし、特定間伐等の実施の促進に関する基本方針においては、第一号から第四号までに掲げる事項を定めれば足りる。
 特定間伐等の実施の促進の目標
 特定間伐等の実施を促進するための措置を講ずべき区域の基準
 次条第一項に規定する特定間伐等促進計画の作成に関する事項
 前三号に掲げるもののほか、特定間伐等の実施の促進に関する事項
 特定母樹の増殖の実施の促進の目標
 特に優良な種苗を生産する体制の整備に関する事項
 特定増殖事業の実施方法に関する事項
 特定増殖事業の実施の促進のための方策に関する事項
 基本方針に定める前項第一号から第四号までに掲げる事項は、森林法第五条第一項 の規定によりたてられた地域森林計画(第九条第二項第三号において単に「地域森林計画」という。)に適合するものでなければならない。
 都道府県知事は、基本方針を定めようとするときは、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に協議しなければならない。
 都道府県知事は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、関係市町村長に通知し、かつ、農林水産大臣に報告しなければならない。
 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。

(特定間伐等促進計画)
第五条  その区域の全部又は一部が前条第二項第二号の基準に適合する区域内にある市町村は、基本方針に即するとともに、森林法第十条の五第一項 の規定によりたてられた市町村森林整備計画に適合して、当該市町村の区域内における特定間伐等の実施の促進に関する計画(以下「特定間伐等促進計画」という。)を作成することができる。
 特定間伐等促進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 特定間伐等促進計画の区域
 特定間伐等促進計画の目標
 第一号の区域において実施する特定間伐等に係る次に掲げる事項
 間伐を実施する森林についての所在場所別の間伐主体、間伐時期、間伐面積、間伐樹種、間伐林齢、間伐立木材積及び間伐方法その他間伐に関する事項
 造林する森林についての所在場所別の造林主体、造林時期、造林面積、造林樹種及び造林方法その他造林に関する事項
 イの間伐又はロの造林を実施するために必要な作業路網その他の施設の設置に関する事項
 前三号に掲げるもののほか、特定間伐等の実施の促進に関する事項
 特定間伐等促進計画に市町村以外の者が実施する特定間伐等に係る事項を記載しようとする市町村は、当該事項について、あらかじめ、当該市町村以外の者の同意を得なければならない。
 市町村以外の者であって特定間伐等を実施しようとするものは、市町村に対し、当該特定間伐等に係る事項をその内容に含む特定間伐等促進計画の案の作成についての提案をすることができる。
 前項の市町村は、同項の提案を踏まえた特定間伐等促進計画の案を作成する必要がないと判断したときは、その旨及びその理由を、当該提案をした者に通知しなければならない。
 市町村は、特定間伐等促進計画を作成しようとするときは、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。
 市町村は、特定間伐等促進計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県知事に当該特定間伐等促進計画の写しを送付しなければならない。
 第三項から前項までの規定は、特定間伐等促進計画の変更について準用する。

(交付金の交付等)
第六条  特定間伐等促進計画を作成した市町村は、次項の交付金を充てて当該特定間伐等促進計画に基づく特定間伐等(前条第二項第三号ハの施設の設置を含む。以下この条、次条第一項及び第十四条第一項において同じ。)の実施(市町村以外の者が実施する特定間伐等に要する費用の一部の負担を含む。次項において同じ。)をしようとするときは、当該特定間伐等促進計画を農林水産大臣に提出しなければならない。
 国は、前項の市町村に対し、同項の規定により提出された特定間伐等促進計画に基づく特定間伐等の実施に要する経費に充てるため、農林水産省令で定めるところにより、予算の範囲内で、交付金を交付することができる。
 前項の交付金を充てて行う事業に要する費用については、森林法 その他の法令の規定に基づく国の負担又は補助は、当該規定にかかわらず、行わないものとする。
 前三項に定めるもののほか、第二項の交付金の交付に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。

(地方債の特例等)
第七条  地方公共団体が、特定間伐等促進計画に基づく特定間伐等を実施し、又は当該特定間伐等で総務省令で定める者が実施するものに関する助成を行おうとする場合において、当該実施又は助成に要する経費のうち総務省令で定めるものであって地方財政法 (昭和二十三年法律第百九号)第五条 各号に規定する経費に該当しないものは、同条第五号 に規定する経費とみなす。
 地方公共団体が特定間伐等促進計画を達成するために行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。

(伐採の届出の特例)
第八条  特定間伐等の実施主体として特定間伐等促進計画に定められた者が当該特定間伐等促進計画に従って行う立木の伐採については、森林法第十条の八第一項 本文の規定は、適用しない。

(特定増殖事業計画の認定)
第九条  基本方針(特定間伐等及び特定母樹の増殖の実施の促進に関する基本方針に限る。以下この項及び第三項第一号において同じ。)に定められた第四条第二項第七号に掲げる事項に基づいて特定増殖事業を実施しようとする者は、その実施しようとする特定増殖事業に関する計画(以下「特定増殖事業計画」という。)を作成し、これを当該基本方針を定めた都道府県知事(以下「特定都道府県知事」という。)に提出して、その認定を受けることができる。
 特定増殖事業計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
 特定増殖事業の目標
 増殖する特定母樹の種類、特定母樹を繁殖する方法、特定母樹を植栽する土地の所在地及び面積並びに植栽する特定母樹の本数、配置及び管理に関する事項
 地域森林計画の対象となっている民有林(森林法第五条第一項 に規定する民有林をいい、同法第二十五条 又は第二十五条の二 の規定により指定された保安林及び同法第四十一条 の規定により指定された保安施設地区の区域内の森林を除く。第四項において同じ。)において特定母樹を植栽する土地の上にある立木を伐採しようとする場合にあっては、伐採する森林の所在場所、伐採面積、伐採齢その他農林水産省令で定める事項
 特定母樹から採取する種穂の配布(配布のためにする苗木の育成を含む。)に関する事項
 特定増殖事業の実施時期
 特定増殖事業の実施に必要な資金の額及びその調達方法
 特定都道府県知事は、第一項の認定の申請があった場合において、その特定増殖事業計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。
 当該特定増殖事業計画が基本方針に照らし適切なものであること。
 前項第二号から第六号までに掲げる事項が当該特定増殖事業計画に係る特定増殖事業を確実に実施するために適切なものであること。
 申請者が特定増殖事業を適確に遂行するに足りる技術的能力その他の能力を有し、かつ、林業種苗法第十条第三項第一号 又は第二号 のいずれにも該当しないこと。
 特定都道府県知事は、第二項第三号に掲げる事項を含む特定増殖事業計画について第一項の認定をしようとするときは、第二項第二号及び第三号に掲げる事項について、当該特定増殖事業計画(同号に掲げる事項に係る部分に限る。)において伐採することとされている民有林の所在地の属する市町村の長の意見を聴かなければならない。
 特定都道府県知事は、前項の規定により市町村の長の意見を聴いた場合において第一項の認定をしたときは、当該市町村の長に当該認定をした旨の通知をしなければならない。

(特定増殖事業計画の変更等)
第十条  前条第一項の認定を受けた者(以下「認定特定増殖事業者」という。)は、当該認定に係る特定増殖事業計画を変更しようとするときは、特定都道府県知事の認定を受けなければならない。
 特定都道府県知事は、認定特定増殖事業者が当該認定に係る特定増殖事業計画(前項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定特定増殖事業計画」という。)に従って特定増殖事業を実施していないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
 特定都道府県知事は、認定特定増殖事業計画が前条第三項各号のいずれかに適合しないものとなったと認めるときは、認定特定増殖事業者に対して、当該認定特定増殖事業計画の変更を指示し、又はその認定を取り消すことができる。
 前条第三項から第五項までの規定は、第一項の認定について準用する。

(林業・木材産業改善資金の償還期間等の特例)
第十一条  林業・木材産業改善資金助成法 (昭和五十一年法律第四十二号)第二条第一項 に規定する林業・木材産業改善資金であって、認定特定増殖事業者が認定特定増殖事業計画に従って特定増殖事業を実施するのに必要なものの償還期間(据置期間を含む。)は、同法第五条第一項 の規定にかかわらず、十二年を超えない範囲内で政令で定める期間とする。
 前項に規定する資金の据置期間は、林業・木材産業改善資金助成法第五条第二項 の規定にかかわらず、五年を超えない範囲内で政令で定める期間とする。

(生産事業者の登録等の特例)
第十二条  特定増殖事業を実施しようとする者がその特定増殖事業計画について第九条第一項の認定を受けたときは、当該認定特定増殖事業計画に記載された特定増殖事業であって、林業種苗法第十条第一項 の登録を受けなければならないものについては、同項 の規定により登録を受けたものとみなして、同法第十二条第一項 及び第二項 並びに第十三条 から第十六条 までの規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。この場合において、同法第十三条第一項 中「その住所地を管轄する都道府県知事」とあるのは「特定都道府県知事(森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法(平成二十年法律第三十二号)第九条第一項に規定する特定都道府県知事をいう。以下同じ。)」と、同条第二項及び第三項並びに同法第十四条第二項中「その住所地を管轄する都道府県知事」とあるのは「特定都道府県知事」と、同法第十三条第三項中「及び同項第五号」とあるのは「並びに同項第五号及び第六号」と、同法第十五条第一項第三号中「第十条第三項第一号又は第三号」とあるのは「第十条第三項第一号」とする。
 特定増殖事業を実施しようとする者がその特定増殖事業計画について第九条第一項の認定を受けたとき、又は認定特定増殖事業者がその認定特定増殖事業計画について第十条第一項の認定を受けたときは、これらの認定に係る認定特定増殖事業計画に記載された特定増殖事業であって、林業種苗法第十三条第一項 (前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による届出及び書替交付の申請をし、又は同条第三項 (前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による届出をしなければならないものについては、同条第一項 の規定により届出及び書替交付の申請をし、又は同条第三項 の規定により届出をしたものとみなす。ただし、これらの者が同法第十条第一項 の規定により特定都道府県知事以外の都道府県知事の登録を受けている者であるときは、この限りでない。

(伐採の届出の特例)
第十三条  第八条の規定は、認定特定増殖事業者が認定特定増殖事業計画(第九条第二項第三号に掲げる事項に係る部分に限る。)に従って行う立木の伐採について準用する。

(国等の援助等)
第十四条  国及び地方公共団体は、特定間伐等促進計画に基づく特定間伐等の実施主体及び認定特定増殖事業者に対し、当該特定間伐等及び特定増殖事業の確実かつ効果的な実施に関し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。
 前項に定めるもののほか、農林水産大臣、関係行政機関の長、関係地方公共団体及び同項の実施主体又は認定特定増殖事業者は、特定間伐等促進計画又は認定特定増殖事業計画の円滑な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
 前二項に定めるもののほか、国立研究開発法人森林総合研究所並びに関係都道府県又は関係都道府県若しくは関係都道府県及び関係都道府県以外の地方公共団体が設立した地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第一項 に規定する地方独立行政法人をいう。)であって特定母樹を所有するものは、特定母樹の増殖の促進を図るため、認定特定増殖事業者に対し、特定母樹を育成するための種穂の提供その他の必要な支援を行うよう努めなければならない。

(報告の徴収)
第十五条  特定都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、認定特定増殖事業者に対し、認定特定増殖事業計画の実施状況について報告を求めることができる。

(罰則)
第十六条  前条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同項の刑を科する。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。
   附 則 (平成二五年五月三一日法律第二四号)

 この法律は、公布の日から施行する。
   附 則 (平成二六年六月一三日法律第六七号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、独立行政法人通則法の一部を改正する法律(平成二十六年法律第六十六号。以下「通則法改正法」という。)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 附則第十四条第二項、第十八条及び第三十条の規定 公布の日

(処分等の効力)
第二十八条  この法律の施行前にこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定によってした又はすべき処分、手続その他の行為であってこの法律による改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において「新法令」という。)に相当の規定があるものは、法律(これに基づく政令を含む。)に別段の定めのあるものを除き、新法令の相当の規定によってした又はすべき処分、手続その他の行為とみなす。

(罰則に関する経過措置)
第二十九条  この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令等への委任)
第三十条  附則第三条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令(人事院の所掌する事項については、人事院規則)で定める。