生活困窮者自立支援法
(平成二十五年十二月十三日法律第百五号)


最終改正:平成二八年五月二〇日法律第四七号

(最終改正までの未施行法令)
平成二十八年五月二十日法律第四十七号(未施行)
 

 第一章 総則(第一条―第三条)
 第二章 都道府県等による支援の実施(第四条―第九条)
 第三章 生活困窮者就労訓練事業の認定(第十条)
 第四章 雑則(第十一条―第十九条)
 第五章 罰則(第二十条―第二十三条)
 附則

   第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、生活困窮者自立相談支援事業の実施、生活困窮者住居確保給付金の支給その他の生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ることを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「生活困窮者」とは、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者をいう。
 この法律において「生活困窮者自立相談支援事業」とは、次に掲げる事業をいう。
 就労の支援その他の自立に関する問題につき、生活困窮者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行う事業
 生活困窮者に対し、認定生活困窮者就労訓練事業(第十条第三項に規定する認定生活困窮者就労訓練事業をいう。)の利用についてのあっせんを行う事業
 生活困窮者に対し、当該生活困窮者に対する支援の種類及び内容その他の厚生労働省令で定める事項を記載した計画の作成その他の生活困窮者の自立の促進を図るための支援が一体的かつ計画的に行われるための援助として厚生労働省令で定めるものを行う事業
 この法律において「生活困窮者住居確保給付金」とは、生活困窮者のうち離職又はこれに準ずるものとして厚生労働省令で定める事由により経済的に困窮し、居住する住宅の所有権若しくは使用及び収益を目的とする権利を失い、又は現に賃借して居住する住宅の家賃を支払うことが困難となったものであって、就職を容易にするため住居を確保する必要があると認められるものに対し支給する給付金をいう。
 この法律において「生活困窮者就労準備支援事業」とは、雇用による就業が著しく困難な生活困窮者(当該生活困窮者及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の資産及び収入の状況その他の事情を勘案して厚生労働省令で定めるものに限る。)に対し、厚生労働省令で定める期間にわたり、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う事業をいう。
 この法律において「生活困窮者一時生活支援事業」とは、一定の住居を持たない生活困窮者(当該生活困窮者及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の資産及び収入の状況その他の事情を勘案して厚生労働省令で定めるものに限る。)に対し、厚生労働省令で定める期間にわたり、宿泊場所の供与、食事の提供その他当該宿泊場所において日常生活を営むのに必要な便宜として厚生労働省令で定める便宜を供与する事業をいう。
 この法律において「生活困窮者家計相談支援事業」とは、生活困窮者の家計に関する問題につき、生活困窮者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行い、併せて支出の節約に関する指導その他家計に関する継続的な指導及び生活に必要な資金の貸付けのあっせんを行う事業(生活困窮者自立相談支援事業に該当するものを除く。)をいう。

(市及び福祉事務所を設置する町村等の責務)
第三条  市(特別区を含む。)及び福祉事務所(社会福祉法 (昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)を設置する町村(以下「市等」という。)は、この法律の実施に関し、公共職業安定所その他の職業安定機関、教育機関その他の関係機関(次項第二号において単に「関係機関」という。)との緊密な連携を図りつつ、適切に生活困窮者自立相談支援事業及び生活困窮者住居確保給付金の支給を行う責務を有する。
 都道府県は、この法律の実施に関し、次に掲げる責務を有する。
 市等が行う生活困窮者自立相談支援事業及び生活困窮者住居確保給付金の支給並びに生活困窮者就労準備支援事業、生活困窮者一時生活支援事業、生活困窮者家計相談支援事業その他生活困窮者の自立の促進を図るために必要な事業が適正かつ円滑に行われるよう、市等に対する必要な助言、情報の提供その他の援助を行うこと。
 関係機関との緊密な連携を図りつつ、適切に生活困窮者自立相談支援事業及び生活困窮者住居確保給付金の支給を行うこと。
 国は、都道府県及び市等(以下「都道府県等」という。)が行う生活困窮者自立相談支援事業及び生活困窮者住居確保給付金の支給並びに生活困窮者就労準備支援事業、生活困窮者一時生活支援事業、生活困窮者家計相談支援事業その他生活困窮者の自立の促進を図るために必要な事業が適正かつ円滑に行われるよう、都道府県等に対する必要な助言、情報の提供その他の援助を行わなければならない。

   第二章 都道府県等による支援の実施

(生活困窮者自立相談支援事業)
第四条  都道府県等は、生活困窮者自立相談支援事業を行うものとする。
 都道府県等は、生活困窮者自立相談支援事業の事務の全部又は一部を当該都道府県等以外の厚生労働省令で定める者に委託することができる。
 前項の規定による委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

(生活困窮者住居確保給付金の支給)
第五条  都道府県等は、その設置する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する生活困窮者のうち第二条第三項に規定するもの(当該生活困窮者及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の資産及び収入の状況その他の事情を勘案して厚生労働省令で定めるものに限る。)に対し、生活困窮者住居確保給付金を支給するものとする。
 前項に規定するもののほか、生活困窮者住居確保給付金の額及び支給期間その他生活困窮者住居確保給付金の支給に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(生活困窮者就労準備支援事業等)
第六条  都道府県等は、生活困窮者自立相談支援事業及び生活困窮者住居確保給付金の支給のほか、次に掲げる事業を行うことができる。
 生活困窮者就労準備支援事業
 生活困窮者一時生活支援事業
 生活困窮者家計相談支援事業
 生活困窮者である子どもに対し学習の援助を行う事業
 その他生活困窮者の自立の促進を図るために必要な事業
 第四条第二項及び第三項の規定は、前項の規定により都道府県等が行う事業について準用する。

(市等の支弁)
第七条  次に掲げる費用は、市等の支弁とする。
 第四条第一項の規定により市等が行う生活困窮者自立相談支援事業の実施に要する費用
 第五条第一項の規定により市等が行う生活困窮者住居確保給付金の支給に要する費用
 前条第一項の規定により市等が行う生活困窮者就労準備支援事業及び生活困窮者一時生活支援事業の実施に要する費用
 前条第一項の規定により市等が行う生活困窮者家計相談支援事業並びに同項第四号及び第五号に掲げる事業の実施に要する費用

(都道府県の支弁)
第八条  次に掲げる費用は、都道府県の支弁とする。
 第四条第一項の規定により都道府県が行う生活困窮者自立相談支援事業の実施に要する費用
 第五条第一項の規定により都道府県が行う生活困窮者住居確保給付金の支給に要する費用
 第六条第一項の規定により都道府県が行う生活困窮者就労準備支援事業及び生活困窮者一時生活支援事業の実施に要する費用
 第六条第一項の規定により都道府県が行う生活困窮者家計相談支援事業並びに同項第四号及び第五号に掲げる事業の実施に要する費用

(国の負担及び補助)
第九条  国は、政令で定めるところにより、次に掲げるものの四分の三を負担する。
 第七条の規定により市等が支弁する同条第一号に掲げる費用のうち当該市等における人口、被保護者(生活保護法 (昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第一項 に規定する被保護者をいう。第三号において同じ。)の数その他の事情を勘案して政令で定めるところにより算定した額
 第七条の規定により市等が支弁する費用のうち、同条第二号に掲げる費用
 前条の規定により都道府県が支弁する同条第一号に掲げる費用のうち当該都道府県の設置する福祉事務所の所管区域内の町村における人口、被保護者の数その他の事情を勘案して政令で定めるところにより算定した額
 前条の規定により都道府県が支弁する費用のうち、同条第二号に掲げる費用
 国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、次に掲げるものを補助することができる。
 前二条の規定により市等及び都道府県が支弁する費用のうち、第七条第三号及び前条第三号に掲げる費用の三分の二以内
 前二条の規定により市等及び都道府県が支弁する費用のうち、第七条第四号及び前条第四号に掲げる費用の二分の一以内

   第三章 生活困窮者就労訓練事業の認定

第十条  雇用による就業を継続して行うことが困難な生活困窮者に対し、就労の機会を提供するとともに、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する事業(以下この条において「生活困窮者就労訓練事業」という。)を行う者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該生活困窮者就労訓練事業が生活困窮者の就労に必要な知識及び能力の向上のための基準として厚生労働省令で定める基準に適合していることにつき、都道府県知事の認定を受けることができる。
 都道府県知事は、生活困窮者就労訓練事業が前項の基準に適合していると認めるときは、同項の認定をするものとする。
 都道府県知事は、第一項の認定に係る生活困窮者就労訓練事業(第十五条第二項において「認定生活困窮者就労訓練事業」という。)が第一項の基準に適合しないものとなったと認めるときは、同項の認定を取り消すことができる。

   第四章 雑則

(雇用の機会の確保)
第十一条  国及び地方公共団体は、生活困窮者の雇用の機会の確保を図るため、職業訓練の実施、就職のあっせんその他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
 国及び地方公共団体は、生活困窮者の雇用の機会の確保を図るため、国の講ずる措置と地方公共団体の講ずる措置が密接な連携の下に円滑かつ効果的に実施されるように相互に連絡し、及び協力するものとする。
 公共職業安定所は、生活困窮者の雇用の機会の確保を図るため、求人に関する情報の収集及び提供、生活困窮者を雇用する事業主に対する援助その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。
 公共職業安定所は、生活困窮者の雇用の機会の確保を図るため、職業安定法 (昭和二十二年法律第百四十一号)第三十三条の四第一項 の規定による届出をして無料の職業紹介事業を行う都道府県等が求人に関する情報の提供を希望するときは、当該都道府県等に対して、当該求人に関する情報を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。)その他厚生労働省令で定める方法により提供するものとする。

(不正利得の徴収)
第十二条  偽りその他不正の手段により生活困窮者住居確保給付金の支給を受けた者があるときは、都道府県等は、その者から、その支給を受けた生活困窮者住居確保給付金の額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
 前項の規定による徴収金は、地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十一条の三第三項 に規定する法律で定める歳入とする。

(受給権の保護)
第十三条  生活困窮者住居確保給付金の支給を受けることとなった者の当該支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

(公課の禁止)
第十四条  租税その他の公課は、生活困窮者住居確保給付金として支給を受けた金銭を標準として課することができない。

(報告等)
第十五条  都道府県等は、生活困窮者住居確保給付金の支給に関して必要があると認めるときは、この法律の施行に必要な限度において、当該生活困窮者住居確保給付金の支給を受けた生活困窮者又は生活困窮者であった者に対し、報告若しくは文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員に質問させることができる。
 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、認定生活困窮者就労訓練事業を行う者又は認定生活困窮者就労訓練事業を行っていた者に対し、報告を求めることができる。
 第一項の規定による質問を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(資料の提供等)
第十六条  都道府県等は、生活困窮者住居確保給付金の支給又は生活困窮者就労準備支援事業若しくは生活困窮者一時生活支援事業の実施に関して必要があると認めるときは、生活困窮者、生活困窮者の配偶者若しくは生活困窮者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者又はこれらの者であった者の資産又は収入の状況につき、官公署に対し必要な文書の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社その他の機関若しくは生活困窮者の雇用主その他の関係者に報告を求めることができる。
 都道府県等は、生活困窮者住居確保給付金の支給に関して必要があると認めるときは、当該生活困窮者住居確保給付金の支給を受ける生活困窮者若しくは当該生活困窮者に対し当該生活困窮者が居住する住宅を賃貸する者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者に、当該住宅の状況につき、報告を求めることができる。

(町村の一部事務組合等)
第十七条  町村が一部事務組合又は広域連合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その一部事務組合又は広域連合を福祉事務所を設置する町村とみなす。

(大都市等の特例)
第十八条  この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法第二百五十二条の十九第一項 の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項 の中核市(以下この条において「中核市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市又は中核市が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市又は中核市に関する規定として指定都市又は中核市に適用があるものとする。

(実施規定)
第十九条  この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。

   第五章 罰則

第二十条  偽りその他不正の手段により生活困窮者住居確保給付金の支給を受け、又は他人をして受けさせた者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。ただし、刑法 (明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法 による。

第二十一条  第四条第三項(第六条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第二十二条  次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
 第十五条第一項の規定による命令に違反して、報告若しくは物件の提出若しくは提示をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の物件の提出若しくは提示をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者
 第十五条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第二十三条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第二十条又は前条第二号の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

   附 則 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、平成二十七年四月一日から施行する。ただし、附則第三条及び第十一条の規定は、公布の日から施行する。

(検討)
第二条  政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、生活困窮者に対する自立の支援に関する措置の在り方について総合的に検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

(施行前の準備)
第三条  第十条第一項の規定による認定の手続その他の行為は、この法律の施行前においても行うことができる。

(政令への委任)
第十一条  この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 (平成二八年五月二〇日法律第四七号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、平成二十九年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 第六条、第八条及び第十四条の規定並びに附則第三条、第十三条、第二十四条から第二十六条まで、第二十九条から第三十一条まで、第三十三条、第三十五条及び第四十八条の規定 公布の日から起算して三月を経過した日