森林・林業基本法
(昭和三十九年七月九日法律第百六十一号)


最終改正:平成二〇年五月二三日法律第三八号


 第一章 総則(第一条―第十条)
 第二章 森林・林業基本計画(第十一条)
 第三章 森林の有する多面的機能の発揮に関する施策(第十二条―第十八条)
 第四章 林業の持続的かつ健全な発展に関する施策(第十九条―第二十三条)
 第五章 林産物の供給及び利用の確保に関する施策(第二十四条―第二十六条)
 第六章 行政機関及び団体(第二十七条・第二十八条)
 第七章 林政審議会(第二十九条―第三十三条)
 附則

   第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、森林及び林業に関する施策について、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、森林及び林業に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とする。

(森林の有する多面的機能の発揮)
第二条  森林については、その有する国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の多面にわたる機能(以下「森林の有する多面的機能」という。)が持続的に発揮されることが国民生活及び国民経済の安定に欠くことのできないものであることにかんがみ、将来にわたつて、その適正な整備及び保全が図られなければならない。
 森林の適正な整備及び保全を図るに当たつては、山村において林業生産活動が継続的に行われることが重要であることにかんがみ、定住の促進等による山村の振興が図られるよう配慮されなければならない。

(林業の持続的かつ健全な発展)
第三条  林業については、森林の有する多面的機能の発揮に重要な役割を果たしていることにかんがみ、林業の担い手が確保されるとともに、その生産性の向上が促進され、望ましい林業構造が確立されることにより、その持続的かつ健全な発展が図られなければならない。
 林業の持続的かつ健全な発展に当たつては、林産物の適切な供給及び利用の確保が重要であることにかんがみ、高度化し、かつ、多様化する国民の需要に即して林産物が供給されるとともに、森林及び林業に関する国民の理解を深めつつ、林産物の利用の促進が図られなければならない。

(国の責務)
第四条  国は、前二条に定める森林及び林業に関する施策についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのつとり、森林及び林業に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(国有林野の管理及び経営の事業)
第五条  国は、基本理念にのつとり、国有林野の管理及び経営の事業について、国土の保全その他国有林野の有する公益的機能の維持増進を図るとともに、あわせて、林産物を持続的かつ計画的に供給し、及び国有林野の活用によりその所在する地域における産業の振興又は住民の福祉の向上に寄与することを旨として、その適切かつ効率的な運営を行うものとする。

(地方公共団体の責務)
第六条  地方公共団体は、基本理念にのつとり、森林及び林業に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(財政上の措置等)
第七条  政府は、森林及び林業に関する施策を実施するため必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。
 政府は、森林及び林業に関する施策を講ずるに当たつては、必要な資金の融通の適正円滑化を図らなければならない。

(林業従事者等の努力の支援)
第八条  国及び地方公共団体は、森林及び林業に関する施策を講ずるに当たつては、林業従事者、森林及び林業に関する団体並びに木材産業その他の林産物の流通及び加工の事業(以下「木材産業等」という。)の事業者がする自主的な努力を支援することを旨とするものとする。

(森林所有者等の責務)
第九条  森林の所有者又は森林を使用収益する権原を有する者(以下「森林所有者等」という。)は、基本理念にのつとり、森林の有する多面的機能が確保されることを旨として、その森林の整備及び保全が図られるように努めなければならない。

(森林及び林業の動向に関する年次報告等)
第十条  政府は、毎年、国会に、森林及び林業の動向並びに政府が森林及び林業に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。
 政府は、毎年、前項の報告に係る森林及び林業の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。
 政府は、前項の講じようとする施策を明らかにした文書を作成するには、林政審議会の意見を聴かなければならない。

   第二章 森林・林業基本計画

第十一条  政府は、森林及び林業に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、森林・林業基本計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 森林及び林業に関する施策についての基本的な方針
 森林の有する多面的機能の発揮並びに林産物の供給及び利用に関する目標
 森林及び林業に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
 前三号に掲げるもののほか、森林及び林業に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
 前項第二号に掲げる森林の有する多面的機能の発揮並びに林産物の供給及び利用に関する目標は、森林の整備及び保全並びに林業及び木材産業等の事業活動並びに林産物の消費に関する指針として、森林所有者等その他の関係者が取り組むべき課題を明らかにして定めるものとする。 
 基本計画のうち森林に関する施策に係る部分については、環境の保全に関する国の基本的な計画との調和が保たれたものでなければならない。
 政府は、第一項の規定により基本計画を定めようとするときは、林政審議会の意見を聴かなければならない。
 政府は、第一項の規定により基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
 政府は、森林及び林業をめぐる情勢の変化を勘案し、並びに森林及び林業に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに、基本計画を変更するものとする。
 第五項及び第六項の規定は、基本計画の変更について準用する。

   第三章 森林の有する多面的機能の発揮に関する施策

(森林の整備の推進)
第十二条  国は、森林の適正な整備を推進するため、地域の特性に応じた造林、保育及び伐採の計画的な推進、これらの森林の施業を効率的に行うための林道の整備、優良種苗の確保その他必要な施策を講ずるものとする。
 前項に定めるもののほか、国は、森林所有者等による計画的かつ一体的な森林の施業の実施が特に重要であることにかんがみ、その実施に不可欠な森林の現況の調査その他の地域における活動を確保するための支援を行うものとする。

(森林の保全の確保)
第十三条  国は、森林の適正な保全を図るため、土地の形質の変更その他の森林の保全に著しい支障を及ぼすおそれがある行為に関し、その支障を防止するために必要な規制、災害による土砂の崩壊の防止及びその復旧のための森林土木事業の推進、森林病害虫の駆除及びそのまん延の防止その他必要な施策を講ずるものとする。

(技術の開発及び普及)
第十四条  国は、森林、林業並びに林産物の流通及び加工に関する技術の研究開発及び普及の効果的な推進を図るため、これらの技術の研究開発の目標の明確化、国、独立行政法人、都道府県及び地方独立行政法人の試験研究機関、大学、民間等の連携の強化、地域の特性に応じた森林及び林業に関する技術の普及事業の推進その他必要な施策を講ずるものとする。

(山村地域における定住の促進)
第十五条  国は、森林の適正な整備及び保全を図るためには、森林所有者等が山村地域に生活することが重要であることにかんがみ、地域特産物の生産及び販売等を通じた産業の振興による就業機会の増大、生活環境の整備その他の山村地域における定住の促進に必要な施策を講ずるものとする。

(国民等の自発的な活動の促進)
第十六条  国は、国民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体が自発的に行う緑化活動その他の森林の整備及び保全に関する活動が促進されるように、情報の提供その他必要な施策を講ずるものとする。

(都市と山村の交流等)
第十七条  国は、国民の森林及び林業に対する理解と関心を深めるとともに、健康的でゆとりのある生活に資するため、都市と山村との間の交流の促進、公衆の保健又は教育のための森林の利用の促進その他必要な施策を講ずるものとする。

(国際的な協調及び貢献)
第十八条  国は、森林の有する多面的機能の持続的な発揮を国際的協調の下で促進することの重要性にかんがみ、森林の整備及び保全に関する準則等の整備に向けた取組のための国際的な連携、開発途上地域に対する技術協力及び資金協力その他の国際協力の推進に努めるものとする。

   第四章 林業の持続的かつ健全な発展に関する施策

(望ましい林業構造の確立)
第十九条  国は、効率的かつ安定的な林業経営を育成し、これらの林業経営が林業生産の相当部分を担う林業構造を確立するため、地域の特性に応じ、林業経営の規模の拡大、生産方式の合理化、経営管理の合理化、機械の導入その他林業経営基盤の強化の促進に必要な施策を講ずるものとする。

(人材の育成及び確保)
第二十条  国は、効率的かつ安定的な林業経営を担うべき人材の育成及び確保を図るため、教育、研究及び普及の事業の充実その他必要な施策を講ずるものとする。

(林業労働に関する施策)
第二十一条  国は、林業労働に従事する者の福祉の向上、育成及び確保を図るため、就業の促進、雇用の安定、労働条件の改善、社会保障の拡充、職業訓練の事業の充実その他必要な施策を講ずるものとする。

(林業生産組織の活動の促進)
第二十二条  国は、地域の林業における効率的な林業生産の確保に資するため、森林組合その他の委託を受けて森林の施業又は経営を行う組織等の活動の促進に必要な施策を講ずるものとする。

(林業災害による損失の補てん)
第二十三条  国は、災害によつて林業の再生産が阻害されることを防止するとともに、林業経営の安定を図るため、災害による損失の合理的な補てんその他必要な施策を講ずるものとする。

   第五章 林産物の供給及び利用の確保に関する施策

(木材産業等の健全な発展)
第二十四条  国は、木材産業等が林産物の供給において果たす役割の重要性にかんがみ、その健全な発展を図るため、事業基盤の強化、林業との連携の推進、流通及び加工の合理化その他必要な施策を講ずるものとする。

(林産物の利用の促進)
第二十五条  国は、林産物の適切な利用の促進に資するため、林産物の利用の意義に関する知識の普及及び情報の提供、林産物の新たな需要の開拓、建物及び工作物における木材の使用の促進その他必要な施策を講ずるものとする。

(林産物の輸入に関する措置)
第二十六条  国は、林産物につき、森林の有する多面的機能の持続的な発揮に配慮しつつ適正な輸入を確保するための国際的な連携に努めるとともに、林産物の輸入によつてこれと競争関係にある林産物の生産に重大な支障を与え、又は与えるおそれがある場合において、緊急に必要があるときは、関税率の調整、輸入の制限その他必要な施策を講ずるものとする。

   第六章 行政機関及び団体

(行政組織の整備等)
第二十七条  国及び地方公共団体は、森林及び林業に関する施策を講ずるにつき、相協力するとともに、行政組織の整備並びに行政運営の効率化及び透明性の向上に努めるものとする。

(団体の再編整備)
第二十八条  国は、基本理念の実現に資することができるように、森林及び林業に関する団体の効率的な再編整備につき必要な施策を講ずるものとする。

   第七章 林政審議会

(設置)
第二十九条  農林水産省に、林政審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(権限)
第三十条  審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するほか、農林水産大臣又は関係各大臣の諮問に応じ、この法律の施行に関する重要事項を調査審議する。
 審議会は、前項に規定する事項に関し農林水産大臣又は関係各大臣に意見を述べることができる。
 審議会は、前二項に規定するもののほか、森林病害虫等防除法 (昭和二十五年法律第五十三号)、国有林野の管理経営に関する法律 (昭和二十六年法律第二百四十六号)、森林法 (昭和二十六年法律第二百四十九号)、保安林整備臨時措置法(昭和二十九年法律第八十四号)、林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法 (昭和五十四年法律第五十一号)、森林の保健機能の増進に関する特別措置法 (平成元年法律第七十一号)、林業労働力の確保の促進に関する法律 (平成八年法律第四十五号)及び中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律 (平成二十年法律第三十八号)の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。

(組織)
第三十一条  審議会は、委員三十人以内で組織する。
 委員は、前条第一項に規定する事項に関し学識経験のある者のうちから、農林水産大臣が任命する。
 委員は、非常勤とする。
 第二項に定めるもののほか、審議会の職員で政令で定めるものは、農林水産大臣が任命する。

(資料の提出等の要求)
第三十二条  審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。

(委任規定)
第三十三条  この法律に定めるもののほか、審議会の組織、所掌事務及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則 抄

 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第九条第三項、第十条第三項、第六章及び次項の規定並びに附則第三項中森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第六十八条、第六十九条及び第七十一条を改める部分の規定は、昭和四十年四月一日から施行する。

   附 則 (昭和五八年一二月二日法律第八〇号) 抄

(施行期日)
 この法律は、総務庁設置法(昭和五十八年法律第七十九号)の施行の日から施行する。
(経過措置)
 従前の総理府又は行政管理庁の審議会等で、次の表の上欄に掲げるもの及びその会長、委員その他の職員は、それぞれ下欄に掲げる行政機関の相当の機関及び職員となり、同一性をもつて存続するものとする。
公務員制度審議会
恩給審査会
地域改善対策協議会
青少年問題審議会
統計審議会
総務庁
国民生活安定審議会 経済企画庁
放射線審議会 科学技術庁
海外移住審議会 外務省
中央心身障害者対策協議会 厚生省
農政審議会
沿岸漁業等振興審議会
林政審議会
農林水産省
中小企業政策審議会 通商産業省
観光政策審議会 運輸省
雇用審議会 労働省

 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定めることができる。

   附 則 (昭和五九年五月八日法律第二七号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 (平成一一年七月一六日法律第一〇二号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 附則第十条第一項及び第五項、第十四条第三項、第二十三条、第二十八条並びに第三十条の規定 公布の日

(職員の身分引継ぎ)
第三条  この法律の施行の際現に従前の総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、郵政省、労働省、建設省又は自治省(以下この条において「従前の府省」という。)の職員(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条の審議会等の会長又は委員長及び委員、中央防災会議の委員、日本工業標準調査会の会長及び委員並びに これらに類する者として政令で定めるものを除く。)である者は、別に辞令を発せられない限り、同一の勤務条件をもって、この法律の施行後の内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省若しくは環境省(以下この条において「新府省」という。)又はこれに置かれる部局若しくは機関のうち、この法律の施行の際現に当該職員が属する従前の府省又はこれに置かれる部局若しくは機関の相当の新府省又はこれに置かれる部局若しくは機関として政令で定めるものの相当の職員となるものとする。

(別に定める経過措置)
第三十条  第二条から前条までに規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要となる経過措置は、別に法律で定める。

   附 則 (平成一三年七月一一日法律第一〇七号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から施行する。

(経過措置)
第二条  この法律の施行の際平成十三年におけるこの法律による改正前の林業基本法(以下「旧法」という。)第九条第一項の報告が国会に提出されていない場合には、同項の報告の国会への提出については、なお従前の例による。
 この法律の施行前に旧法第九条第一項の規定により同項の報告が国会に提出された場合又は前項の規定によりなお従前の例によるものとされた旧法第九条第一項の規定により同項の報告が国会に提出された場合には、これらの報告は、この法律による改正後の森林・林業基本法(以下「新法」という。)第十条第一項の規定により同項の報告として国会に提出されたものとみなす。
 この法律の施行の際平成十三年における旧法第九条第二項の文書が国会に提出されていない場合には、同項の文書の国会への提出については、なお従前の例による。
 この法律の施行前に旧法第九条第二項の規定により同項の文書が国会に提出された場合又は前項の規定によりなお従前の例によるものとされた旧法第九条第二項の規定により同項の文書が国会に提出された場合には、これらの文書は、新法第十条第二項の規定により同項の文書として国会に提出されたものとみなす。

   附 則 (平成一三年七月一一日法律第一〇八号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 (平成一五年三月三一日法律第二一号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、平成十五年四月一日から施行する。

(政令への委任)
第四条  前二条に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 (平成一五年五月三〇日法律第五三号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第四条から第六条までの改正規定並びに附則第八条、第九条、第十二条、第十三条及び第十六条の規定は、平成十六年四月一日から施行する。

   附 則 (平成一五年七月一六日法律第一一九号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)の施行の日から施行する。

(その他の経過措置の政令への委任)
第六条  この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 (平成二〇年五月二三日法律第三八号) 抄

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。